●英名:Dill
●和漢名:蒔蘿(ジル)、いのんど
●学名:Anethum graveolens L.
●科名:セリ科の一年生草本
●原産地:地中海沿岸、インド
●主産地:インド、ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、エジプト
原産は地中海沿岸およびインド地方で、セリ科の一年草である。草丈は60〜150cmで、黄色の小花を咲かせ、植物全体に芳香をもつ。外観は、同じセリ科のフェネルによく似ており、香味はキャラウェイと似ているため、しばしば混同される。
ディル全体に芳香があるため、世界各地の料理に使われているが、スパイスとして市場で取引されているのは種子(ディルシード)である。
生の葉は清々しい芳香だが、種子はやや刺激的な芳香である。
この芳香の主成分はカルボンで、精油の40〜60%を占める。主成分が共通しているため、キャラウェイの香味と似ているが、後味の辛味感はディルが勝る。また、外観はフェンネルによく似ているが、フェンネルにある甘い芳香はディルには感じられない。
■生の葉は、刻んでスープやサラダ、伊勢えびのような魚介料理にふりかける。さわやかな香りがプラスされる。
■ディルシードは、原形もしくは粉末にして、パンや魚料理のソースに使われる。その他にも、ジャガイモなどの野菜と一緒に使われたり、パイ皮の香味づけにも用いられる。
■ディルは、きゅうりのピクルスには欠かすことができない。この場合、種子の方が葉よりも香味が強いため、ホウルのまま加える。家庭菜園で栽培している場合は、フレッシュな若葉も加えると、ほのかに甘さを持った芳香が加わる。パウダーは苦味が出てしまうため、ピクルスには不向きである。
■ディルは酸味との相性が抜群である。ビネガーにシードや若葉を数日間漬け込み、ディルビネガーを作っておくと、ソースやドレッシングを作る際に便利である。
■ディルは、古くから芳香性健胃、駆風剤として使われていた。また、種子を水蒸気蒸留した蒔蘿水は、小児の食べ過ぎに用いられていた。
■乳汁および尿分泌促進、生殖力抑制作用があるとされている。また、嘔吐、ヒステリーに効果を発揮し、肛門潰瘍の外用薬としても用いられている。
■ディルは種子をまいて栽培する。日当たり、水はけのよい砂地が望ましい。
■ディルは移植は適さないため、畑地に直まきする。早春に種子をまき、6〜7月に若葉を収穫する。
■種子は、実が熟し黄褐色に変化する8月中旬頃収穫する。しかし、熟し過ぎてしまうと種子が飛び散ってしまうため、早朝から夕方に刈り入れをする。そうすることで、飛散による種子の損失を抑えることができる。収穫したディルシードは、天日で乾燥させる。その後、容器に入れて保存する。